コンビニ強盗未遂事件③

エピソード001 事件

面会へ

勾留期限の迫った×月某日、その日はコンビニ強盗未遂事件を起こしたTさんに面会するため、○○警察署に車を走らせました。本当は前日に行きたかったのですが、Tさんに取り調べの予定が入っているとのことで翌日の面会予約となりました。

約束の時間になり留置係の受付で書類に記入をして、しばらく待つと名前を呼ばれ「ガチャリ」と留置所内へ入る扉が重く開きました。

面会室の扉の手前には小さなテーブルがあり、そこに置いてある銀色の箱にスマホを入れるよう言われ、鍵を渡された。面会が終わったら自分で鍵を開けてスマホを取り出せとのこと。

面会室に案内されしばらく待つように言われた。どこの留置所も大体作りは同じで、こちら側と向こう側は大きな分厚いアクリル板で仕切られ、丁度椅子に座る辺りに会話ができるように幾つもの穴がある。また注意事項と書かれた紙が壁に貼られていて「録音禁止」や、中には「日本語で会話をすること」など日本語以外にも英語、中国語などで書かれていて、いかにこの街での外国人犯罪が多いのかが伺える。

Tさんとの再会

面会室の扉の向こうから「○○番解錠」と声が聞こえてくると足音が近づいてきて向かいの扉が開くと、警察官とともに項垂れた(うなだれた)様子のTさんが入ってきました。

面会時間と事件の内容については話さないように説明をされた後、私の正面にTさんが座りました。

今日、私がTさんに面会しに来た理由は逮捕されたことによって生活保護が停止されること、入居契約が解除されること、部屋にある荷物のこと。また個人的にはTさんの様子を見たいという気持ちもありました。

Tさんにそれらのことを説明しても大した返事もなく、

ただ一言だけ、「5年ですわ…」弁護士に言われたであろう実刑の年数をそっと呟いただけでした。

コンビニ強盗をしてどれだけの現金を手にできると思ったのでしょうか、日本の警察による強盗の検挙率は99%を超えています。逮捕されて自分がやったことへの愚かさを理解したのかもしれません。

弁護士とも話しをしたかったので、弁護士事務所と担当弁護士の名前を聞くと「覚えていない」。自分の弁護をしてくれる人の名前に関してもこの程度です。今まで何人もこの手のやり取りをしてきましたが、弁護士の名前を覚えていない方が殆どです。

私は「また出てきたら施設として受け入れるから」と伝えて、Tさんとの短い面会は終了しました。

部屋の鍵の「宅下げ」をお願いしましたが、捜査資料としてまだ返還できないとのこと。仕方なしに弁護士事務所と担当弁護士を教えて貰い警察署を後にしました。

刑量の考察

実際の裁判にならないと分からない部分が多いですが、刑法に照らし合わせ私なりの刑量を考えてみました。

「未遂を罰する規定がある犯罪は、たとえ犯罪が未遂で終わっても既遂の場合と同じ刑罰が科せる」とあるので、強盗には未遂を罰する規定があるので法定刑は「5年以上の有期懲役」となる。

また、刑法第43条には「未遂減免」の規定があり、法定刑が減じられるか免除される可能性があるともなっています。

Tさんの場合、犯罪の実行に着手した→コンビニ従業員が抵抗した→外部的な要因で犯罪を諦めた。

この場合「障害未遂」となり、裁判官の判断で「減軽」することが可能。ただし必ず減軽されるわけではなく、裁判官の判断次第では減軽はされないとなっている。

他にも「中止未遂」という犯罪の実行に着手したが、自分の意思で犯罪を中止するものがあり、中止未遂では、必ず刑が減軽されるか、免除されるというのもあるが、Tさんの場合、報道内容から考えると「障害未遂」になると思われる。

執行猶予になるためには懲役3年以下にならなければいけないのですが、強盗犯罪は5年以上の実刑からなのでどうなるのでしょうか?

いずれにせよ裁判には傍聴しに行こうと思っているので、その時にはどうなったのかは後日書こうと思います。

 

 

※当ホームページに記載されている内容は実際に管理人が体験した経験談ではありますが、地域により同じ手法が通用しないことがあります。実際に私が施設長をしている無料低額宿泊所がある都市でも、区が違えば対応も違うことが多々あります。知的好奇心を満たす読み物としてご理解頂きますようお願い申し上げます。

生活保護な人たち 管理人

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