次は無料低額宿泊所で生活している方たちが就職活動をする場合、どのような方法で行われるのか?私の施設の入居者を例に書いていきます。
勤労の義務
日本の三大義務のひとつ、「勤労の義務」
日本国憲法第3章第27条「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」
厚生労働省の資料では65歳までの雇用確保(義務)、70歳までの就業確保(努力義務)となっており、役所も生活保護者に対し65歳までは就職活動を指導しています。
就職活動の状況報告
私の施設がある某都市では、毎月の就職活動をどのように行ったのかを報告するための書類提出があります。
ハローワークに行って求人の閲覧をしたり、求人誌を見て電話を掛けたり、面接に行ったりと。どのような就職活動をしたのか日付別に記入していきます。
就職活動を余りにも怠った場合にはケースワーカーから指導されますが、住んでいる地域によってハローワークが遠ければ頻繁にはいけませんし、ハローワークが近ければ毎日でも行けるでしょう。私の無料低額宿泊所がある場所からは、ハローワークも近いので週2~3回は行くように言われています。
就職活動と仕事が見つかるかは別
就職活動をしていても仕事が見つからない方は多いです。いつまでも仕事が見つからない場合、生活保護は打ち切られると心配される方がいますがそんな事はありません。仕事探しをしていても就労できるとは限りません、それは本人の責任ではないのです。就職活動をしている以上、就労の意志は示しています。
実際私の施設でも何年にも渡り就職活動はしていますが、就労には至らず生活保護を受給し続けている方もいます。
就労支援プログラム
そこで行政が力を入れているものが就労支援プログラムです。
就労支援にはいくつか種類があるのですが、主に行われているのは「生活保護受給者等就労支援事業による就労支援」というものです。
「生活保護受給者で就労能力、就労意欲があり、就労を妨げるものがない方で、適切な就労支援を行えば、自立の可用性が目込める方」を対象とした支援。
内容としては、生活保護受給者に対して役所の就労支援員とハローワークの相談員が連携して就労支援プランを作成し、面談を通して面接の練習などを行うなどで就労を支援するものです。
就労支援は面倒くさい
就労を真剣に考えていても中々仕事に就けない方には、就労支援は非常に良いプログラムだと感じています。面接で異常に緊張してしまったり、文字を書けない方が履歴書の作成を手伝ってもらったりと色々と手助けして頂けます。
しかし、就労を真剣に考えている方が本気で就職活動を行えば、仕事に就くことはそこまで困難ではないと感じています。先日も64才の方が仕事に就くことができて私の施設から就労自立されて行きました。
つまり働きたくないんです。これが現実で、そういう方を就労支援プログラムに参加させても効果を期待できないのです。就労支援プログラムにやたらと参加させたがるケースワーカーがいますが、正直意味がないですし、就労支援員の労力の無駄です。何故なら当の本人の就労意欲が低いからです。
就労支援の面談員との約束をすっぽかしたりしますし、プログラム自体が面倒になり失踪してしまう方もいます。
就労意欲があり、適切な就労支援を行えば自立の可用性が目込める方を対象にしているはずなのに、就労意欲もなく自立の可能性が見込めない人を就労支援プログラムに参加させても意味がないんです。
こういった背景には各都道府県の就労支援プログラムでの統計で、参加人数が少ないとあまり宜しくないという大人の事情もあるのでしょう。
就労支援プログラムは強制ではない
就労支援プログラムへの参加をさせようと、色々理由をつけて勧めてくるケースワーカーがいますが、もし就労に対してそこまで思いが強くないのであれば参加しないことです。
「自分で探せます」とはっきり断りましょう。就労支援プログラムに参加しないと生活保護が切られるなんて法律はありません。やる気のない方が参加しても誰の利益にもならないのです。
※当ホームページに記載されている内容は実際に管理人が体験した経験談ではありますが、地域により同じ手法が通用しないことがあります。実際に私が施設長をしている無料低額宿泊所がある都市でも、区が違えば対応も違うことが多々あります。知的好奇心を満たす読み物としてご理解頂きますようお願い申し上げます。
生活保護な人たち 管理人