心肺停止②

エピソード 003 生活保護

病院に到着

病院の駐車場に車を止めて、重苦しい気持ちで守衛室へ向かいました。「すみません…先ほど救急搬送されたA.Tさんですが、救急隊員の方に病院に来るように言われました。」

守衛「少々お待ち下さい……あぁ、ここの通路を左に行った11番の救急外来です。」

この病院の救急外来は何度も来たことがあったので、すぐに守衛に聞いた場所がわかりました。救急外来の受付で患者の名前を告げると、受付用紙を渡されA.Tさんの名前や生年月日、住所などを記入して椅子で待つように言われました。

何組か救急外来で来た方や、その親族らしき人が長椅子に座っていて、私は空いている場所に腰を下ろしました。

しばらく待つと幾つかある診察室の扉が開き、「Aさんの関係者の方は…」と声を掛けられました。

医師からの説明

医師と看護士のふたりに自己紹介をした後、Aさんの説明を受けました。

医師:「Aさんが病院に着いた時には既に心肺停止の状態で運ばれてきました。蘇生処置にはいたらずにそのまま死亡確認となりました、それでAさんは当病院での診察記録がありまして…

肝硬変の末期と診断されており、治療をしなければ余命半年から一年との診断でしたが、Aさん自身が治療を受ける気がないことと飲酒も止めないとのことで治療は中断と記録に残っていました。」

病院では死亡後にCTにて検査を行ったとのことで、最終的な死因は肝硬変末期による静脈瘤の破裂、大量の血液が肺に流れ込み窒息したとのことでした。

最後の確認

まだ54才で適切な治療をすれば余命を伸ばせたかもしれないのに、酒を取るのかAさんは…何とも言えない気持ちになりました。

その後はAさんの死亡確認の為に診察台に乗せられ、冷たくなったAさんと対面して終わりました。

生きたくても生きられない人は世の中にたくさんいるのに、Aさんは生きることを諦めていたのでしょうか?今となっては聞くこともできませんが、今朝Aさんとすれ違った時に見せてくれた顔は間違いなく笑顔でした。

 

 

※当ホームページに記載されている内容は実際に管理人が体験した経験談ではありますが、地域により同じ手法が通用しないことがあります。実際に私が施設長をしている無料低額宿泊所がある都市でも、区が違えば対応も違うことが多々あります。知的好奇心を満たす読み物としてご理解頂きますようお願い申し上げます。

生活保護な人たち 管理人

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