Googleサーチコンソールを見ていて、ある検索キーワードに目が留まりました。
「生活保護 申請 裏技」
なるほどと思いつつ、どこか複雑な気持ちにもなりました。
生活に困って、必死に情報を探す中でたどり着くのが「裏技」という言葉なのだとしたら、支援者として何か伝えられることがあるはずだと、この記事を書いています。
「裏技」を求めてくる人たち
私が関わっている施設には、日々、生活に困窮した方からの相談が寄せられます。
そして、その多くが**「所持金がほとんどない状態」**で来所されます。
なぜかというと——
**「お金を持っていると、生活保護の申請ができない」**と勘違いしている方がとても多いからです。
実際の制度はどうなのか?
実は、生活保護の申請時に全くの無資産である必要はありません。
申請の判断に使われるのは、**「その地域における最低生活費の5割を超える金額かどうか」**です。
たとえば、ある地域での最低生活費が月12万円だとします。
この場合、6万円までは“認定対象外”となり、保護費に影響しないのです。
つまり、6万円の貯金や手持ちがあっても、生活保護は受けられるということです。
ところが、こうした制度の基本を知らずに、ギリギリまで我慢し、財布に千円を切ったあたりでようやく相談に来る方が本当に多いのです。
“裏技”とは制度を知っているか知らないかの違い
私は、支援現場でこう思うようになりました。
「生活保護の裏技」とは、実は“制度を正しく知っているかどうか”に尽きる。
相談を早めにすれば、精神的にも金銭的にも余裕がある状態で次の一歩を踏み出せるはずなのに。
「申請は月末が有利」だとか、「残金ゼロでないと通らない」などの不正確な情報に振り回されて、本当に必要な人たちが制度にたどり着けていない現実。
それが、支援者として何よりももどかしいのです。
月のどのタイミングでも“基準”は同じ
もうひとつ、よくある誤解があります。
「申請のタイミングによって判定が変わるのでは?」というもの。
実はこれも誤解です。
生活保護の資産基準に関しては、月のどのタイミングで申請しても、「1ヶ月あたりの最低生活費の半分」が基準です。
つまり、所持金が6万円であれば、月初でも月末でも認定基準は変わりません。
焦ってゼロ円まで我慢する意味はないのです。
「裏技を探す必要のない社会」へ
「裏技」という検索キーワードの背景には、不安や絶望があるのだと思います。
誰かに相談する前に、まずネットで調べて、「どうにか生き延びる方法はないか」と探している——
そういう人たちの声が、そこには確かにあります。
だからこそ私は、伝えたい。
制度を知っていれば、それは“裏技”ではなく“正当な権利”として使えるということを。
そして、困っている人がもっと早く相談できるような社会であってほしい。
「もう少し早く来てくれれば、もっと選択肢があったのに」と思う場面を、減らしていきたい。
最後に
生活保護は、人生を立て直すための制度です。
「ずるい人が得をする制度」ではありません。
「誰にでも起こりうる困難に、最低限の安全網を用意する制度」なのです。
もし今、迷っている方がいたら、
「まだ早い」ではなく、「今がその時」と思って、ぜひ一度相談してみてください。
※当ホームページに記載されている内容は実際に管理人が体験した経験談ではありますが、地域により同じ手法が通用しないことがあります。実際に私が施設長をしている無料低額宿泊所がある都市でも、区が違えば対応も違うことが多々あります。知的好奇心を満たす読み物としてご理解頂きますようお願い申し上げます。
生活保護な人たち 管理人