要点まとめ(先に結論)
・見出しの「10月から+500円」は、“誰でも手取りが500円増える”という意味ではない。
・2025年10月からの2年間、臨時・特例加算は「月1,500円/人」に。ただし同時期の基礎額見直しや従前額保障の影響で、据え置き(増えない)ケースもある。
・除外や別扱いがあるのは入院・介護施設入所など。無料低額宿泊所は原則として除外に当たらない。
・最終結果は「級地×世帯類型×年齢×居住形態」で変わる。迷ったら担当ケースワーカーに個別確認を。
「10月から生活保護費が“500円上乗せ”」の見出しに注意
最近、「10月から生活保護の生活扶助が500円上乗せ」という見出しの記事を見かけます。結論から言うと、この言い方は“半分正しく、半分まぎらわしい”です。正確には、2025年10月からの2年間、臨時・特例加算が「1人あたり月1,500円」に引き上げられます(従来の1,000円に+500円)。ただし、同時に生活扶助基礎額の見直しや従前額保障の調整が入るため、全員が実額で+500円になるわけではありません。
誰が増えて、誰が据え置きになるのか
増減は地域区分(級地)、世帯類型(単身・母子・高齢など)、年齢区分の組み合わせで変わります。私の現場で確認している範囲では、私の無料低額宿泊所(1級地-1)などに該当する地域の単身世帯は、据え置き(差0円)になりやすい代表例です。一方、2級地や3級地の一部では、同じ単身でも+500円が出る行が示されているため、地域差は無視できません。
除外・別扱いの整理:無料低額宿泊所は“除外”ではない
- 原則:臨時・特例加算は全員に付く(2025年10月〜2年間は1,500円)。
- 例外・別扱い:入院中や介護施設入所中など、現物給付の扱いがある場合は従来水準(1,000円)据え置き等の取り扱いが示されている。
- 無料低額宿泊所:この「入院・介護施設」の除外に該当しないため、原則は通常どおりの特例加算側(=1,500円側)で考える。ただし、最終的な決定は各自治体の運用と個別条件による。
現場感覚としても、無料低額宿泊所に居住していることを理由に「特例加算の対象外」とされるケースは確認していません。むしろ、級地や類型・年齢での増減(据え置き含む)が焦点になります。
1級地-1の単身の実例(私の無料低額宿泊所 など)
私の無料低額宿泊所(1級地-1)などに該当する地域の単身は、令和5〜6年度基準から令和7〜8年度基準への移行で差が「0円」となるパターンが目立ちます。これは、特例加算を1,500円としても、基礎額の見直しで下振れした分が従前額保障で相殺され、結果として据え置きになるためです。
自分はどうなる?チェックリスト
- 級地は?(1級地-1/1級地-2/2級地-1/…)
- 世帯類型・年齢は?(若年単身/高齢単身/母子/夫婦子あり 等)
- 入院・介護施設入所中か?(該当なら特例加算は原則現行水準の扱い)
- 無料低額宿泊所か?(原則、除外対象ではない)
この4点の掛け合わせで、「実際にいくらになるか」が変わります。記事やSNSの見出しだけで判断せず、担当ケースワーカーに自分の条件を伝えて確認するのが最短・確実です。
私の結論(現場の検証から)
- 「10月から+500円」は、“みんなの手取りが500円増える”という意味ではない。
- 1級地-1の単身(私の無料低額宿泊所 など)のように、据え置き(増えない)の典型パターンがある。
- 無料低額宿泊所は原則として除外ではない。焦点は級地・類型・年齢の組み合わせによる増減(据え置き含む)。
- 最終額は「級地×世帯類型×年齢×居住形態」の組み合わせで決まる。迷ったら個別確認。
最後に
「10月から上がる」という一言だけが独り歩きすると、期待と現実の差で混乱が生まれます。制度の全体設計(基礎額の見直し・従前額保障・臨時・特例加算)をセットで見たうえで、自分の条件に引き直すことが大切です。この記事が、見出しの“わかりやすさ”に隠れた落とし穴を避ける助けになれば幸いです。
注記:本記事の内容は、公開資料の読み取りと、私の無料低額宿泊所での現場確認に基づく一般的な解説です。運用は自治体や個別事情で異なる場合があります。最終判断は必ず担当ケースワーカーにご確認ください。
※当ホームページに記載されている内容は実際に管理人が体験した経験談ではありますが、地域により同じ手法が通用しないことがあります。実際に私が施設長をしている無料低額宿泊所がある都市でも、区が違えば対応も違うことが多々あります。知的好奇心を満たす読み物としてご理解頂きますようお願い申し上げます。
生活保護な人たち 管理人