次は生活保護を受ける為の4つの要件、「資産の活用、能力の活用、あらゆるものの活用、扶養義務者の扶養」の『能力の活用』について、わたしなりの解釈を交えて解説していきます。
能力の活用
能力の活用とは「働くことが可能な方は、その能力に応じて働くこと」を指しています。
勤労の義務とは、日本国憲法第27条第1項に勤労の権利と並んで置かれている義務規定であり、教育、納税と並ぶ日本国民の三大義務とされているものです。
一時的に生活保護制度を利用しましたけど、特別な理由がない方は就労活動をして一日も早く収入を得るように頑張りましょうね、ということです。
65歳を過ぎるとその義務から外れるため生活保護の要件からなくなりますが、中には65歳を過ぎても働いておられる方もいらっしゃいます。
就職活動
生活保護が開始された後、就職活動を行っていることを毎月役所に報告します。地域や役所によって違いはあると思いますが、わたしの無料低額宿泊施設に入居されている方たちは「就職活動状況申告書」という書類を提出しています。具体的にはハローワークに行った日や、面接に行った日の内容を書くものです。
また就労支援プログラムを利用して就職活動される方もいらっしゃいます。(就労支援プログラムについては別で書きます。)
就労しなくてもよいケース
障害者手帳をお持ちであったり、医師が就労困難とした場合には就労の義務に当てはまらないケースもあります。
腰痛が酷いから就職活動ができないと役所に訴える方がいらっしゃいますが、医師の「就労は困難」との診断がないと認めてもらえませんので病院に受診した際に相談しましょう。医師の診断があれば鬼に金棒です。
まとめ
役所の立場からすると就職活動については口うるさくなるものです。公費を使っているわけですから、一日でも早く仕事に就いてほしいという指導は当然だとも思います。
失業状態にあり生活保護を受けている方たちには、そこに行き着くまでのさまざまなストーリーがあると感じています。
実際にはサボっているだけの方もいるのかもしれません。
でも中には仕事にトラウマがあったり、対人スキルが低い方が多いのも事実です。そんな方に強引に仕事を始めさせても、すぐに辞めてしまうことも多いです。
ケースワーカーとの就職面談を高圧的に感じて、施設から居なくなってしまう方もいます。
これは私の主観ですが、そもそもそんな方に仕事を継続させる能力があると思っているのでしょうか?
仕事を失い、住む場所も無くなってやっとの思いで無料低額宿泊施設にたどり着き、住居と食事をなんとか確保できたのに、ケースワーカーとの就職面談が嫌でホームレスに戻ってしまう。一般の方にはとても理解し難いことと思いますがこういった方が多いです。
それに「どんな仕事でもいいから」ではなく、「長く続けられる仕事に就く」ことの方が大切だと思います。
オーダーメイドの対応はとても難しいですが、ひとりひとりに合った対応をして自立に繋げていくことを私は大切に考えています。
つづき→生活保護制度④
※当ホームページに記載されている内容は実際に管理人が体験した経験談ではありますが、地域により同じ手法が通用しないことがあります。実際に私が施設長をしている無料低額宿泊所がある都市でも、区が違えば対応も違うことが多々あります。知的好奇心を満たす読み物としてご理解頂きますようお願い申し上げます。
生活保護な人たち 管理人