これでラストです。4つ目の『扶養義務者の扶養』については、これまでの要件とは異なる位置づけになっています。今回もまた、私なりの解釈を交えて解説していきます。
扶養義務者の扶養
扶養義務者の扶養とは、親族等から援助を受けることができる場合は、援助を受ける。扶養照会をして、生活保護を受ける方の親族が金銭的援助をできるか聞く仕組みです。
生活保護法第4条第2項において、扶養義務者の扶養は「保護に優先して行われる」ものと定められており、「保護の要件」とは異なる位置づけのものとして規定されています。
つまり、扶養義務者からの金銭的扶養が実際に行われた場合、これを被保護者の収入として取り扱うということであり、扶養義務者による扶養の可否等が、保護の要否の判定に影響を及ぼすものではないということです。
扶養照会は書面にて行われることが多いです。内容としては金銭的援助または精神的援助が可能か?可能な場合どの程度の援助ができるか?また家族構成や年収、資産状況など失礼で突っ込んだ質問内容なっています。(自治体によって差がある)
私はこの扶養照会に関しては、決まりとはいえいろいろと問題ある部分ではないかと感じています。
扶養照会の範囲
「扶養義務」とは3親等までが対象となっています。(民法上)そもそも3親等って広すぎませんか?
親子供が1親等、兄弟姉妹に祖父母と孫が2親等、おじさん、おばさんと甥に姪で3親等。これを生活保護の申請時に面談で言われて、心を折れる方が結構いらっしゃいます。
昔問題になった役所の水際作戦でも、「生活保護を受けると親戚中に知られちゃうげどいいの?」なんて言うケースワーカーもいたのではないでしょうか。
実際、私の施設に生活保護のご相談に来る方の中で、この部分を心配される方はいます。
昭和生まれの日本人て、人様に迷惑をかけてはいけないとか、恥のないように生きろとか教育を受けてきたと思うんですよね。(私はそうでした)そんな人って、生活保護を受ける状態になったことを親族に知られたくない、迷惑を掛けたくないと思い申請を断念するんですよ。
本来生活保護を受けるべき人が、生活が苦しいのに受けていないことを漏給というのですが、これって最悪餓死に繋がりかねないです。
最低生活基準を下回る収入しかないのに、「親や親戚に連絡されたくない」という理由で申請しないんですよ。生活保護はあくまでも申請制度です、本人の意志を持って行うものなので無理やり申請させることはできないんです。
こういった考えで大変な生活を続けておられる方は相当数いるようです、ですので個人的には「扶養照会」は無くしたほうがいいと思っています。
扶養照会しないケース!?
厚生労働省の「扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について」に詳しく書いてありますが、次の2つが間違いないので「扶養照会」をされたくない場合は、生活保護の申請時に面談員に必ず伝えましょう。
■親や親戚とは不仲であり、10年以上疎遠である。
■幼い頃から虐待されており、自分の所在を知られるのが恐怖である。
まとめ
裕福な扶養義務者の方はどうぞ援助してあげてください。しかし、僅かな年金と少ない貯金を切り崩して生活しているような扶養義務者が「迷惑をかけちゃいけない」なんて思って、金銭的援助はしなくていいと思います。
数万円の援助をしても本人が使えるお金は一円も増えません、受給する生活保護費が減額されるだけです。親も大変なのに、自分の為に援助させるなんて申し訳ない!そう本人が思えるなら必死に就職活動をして一日も早く自立すればいいんです。
かわいい息子に少しでも多くお金をあげたいなどと思い、銀行振り込みだと通帳に記載が残るから現金書留で送金しては決してダメです。
現金書留が届いたことを本人が役所に申告しなければ、現金書留でお金が送金されたことを役所は把握しようがないんです。大事なのでもう一度言います、現金書留での送金をやられてしまうと役所は把握できずにいわゆる「不正受給」になってしまいますので、絶対にダメです。
不正受給は犯罪です。
※当ホームページに記載されている内容は実際に管理人が体験した経験談ではありますが、地域により同じ手法が通用しないことがあります。実際に私が施設長をしている無料低額宿泊所がある都市でも、区が違えば対応も違うことが多々あります。知的好奇心を満たす読み物としてご理解頂きますようお願い申し上げます。
生活保護な人たち 管理人